磯部歯科医院【東京都台東区寿】
健康保険治療と自由診療の違いについて

歯科治療は、その診療や治療費の支払方法の方式により、健康保険診療と、自由診療に分けることができます。健康保険診療は検査・治療の内容により、診療報酬が定められています。これは、医療費という予算の範囲で医科と歯科で分けられるものですが、生命に関係が薄い歯科の割合が約8%と極端に低くなっています。従って治療の方法、あるいは治療に使用できる材料などは制限されています。例えば、頭の大きさや形は個人個人違うのに、同じ大きさの帽子を無理やりかぶせるようなものです。あるいは、好みにかかわらず、決められた定食を食べさせられるようなものです。
虫歯などで歯に金属を詰める治療を、健康保険診療で行った場合、水銀化合物である「アマルガム」か、銀を多く含む「銀合金(一般的組成 銀:83% 亜鉛:11% カドミウムウム5% 銅:0.2% マンガン:0.2% 錫:0.6%)」少量の金を含む「金銀パラジウム合金(一般的組成 銀:58% パラジウム:20% 金:12% 銅:10%)」などに使用が制限されています。金以外の金属は、化学的に不安定でイオンとして唾液の中に溶け出します。厚生労働省から認可は下りておりますが、長期にわたり口腔内で使用したときの人体に与える安全性は確認されておりません。ご存じの方も多いと思いますが、これら重金属は人体の健康に影響を及ぼします。水銀の中枢神経障害、銅の胃腸障害などはその一例です。またパラジウムなどの金属は、アレルギー性が高く口の中の粘膜に様々な疾患(扁平苔癬など)や炎症を起こしてしまう可能性もあります。
一方、自由診療で使用する金属の材料は金を多く含む「金合金(一般的組成 金:97% プラチナ:3% バリエーションは豊富)」となります。貴金属は口の中でも化学的に極めて安定しており、イオンとして溶け出してくる量は極めて少なく、人体に対する健康障害や、アレルギーはほぼ皆無です。
また、虫歯の範囲が大きく銀歯などを被せる場合には、先程の「金銀パラジウム合金」を使用した場合、縁の部分は顕微鏡で見るとギザギザしています。鋳造といって金属を高熱で溶かしこれを歯の鋳型に流し込んで銀歯を作るのですが、この操作をすると、合金の特性上、縁が欠けたりして粗造になってしますのです。そうするとそこに食品のカスなどが溜まりやすくなってしまいます。「金合金」では「金」が非常に粘りのある性質(展性、延性)があるので縁が欠けたりしません。従って食品のカスなどは溜まりにくくなります。
例えて言えば、台風が通過した後のリアス式海岸と砂浜の違いがあると思います。リアス式海岸には、小さな湾内にたくさんのゴミが溜まります。一方、砂浜にはあまり変化がありません。食事は台風に、リアス式海岸は金銀パラジウム合金、砂浜は金合金に相当します。義歯(入れ歯)に関しては、部分義歯の場合、通常義歯のバネを自分の歯に引っかけて外れないように維持します。このバネの力が歯に適正に掛からないと非常に強いダメージを受けます。この力の掛かり具合は自由診療で作った入れ歯の場合、非常に精密に型を取り、優れた物性を持つ金属を使うので具合が格段によいのです。また、義歯の歯茎を覆う部分は厚みを持ったプラスチック製が一般的ですが、これは比較的壊れやすく、熱い物、冷たい物を食べたときにも熱が伝わりにくいため、味覚が低下するといった特徴があります。一方、歯茎を覆う部分を金属で作った場合は、壊れにくく、味も良好です。しかしこれは自由診療でしか作る事が出来ません。また歯の治療が終わった後も、口の中を良い状態を維持するためには、個人個人の状態にあわせて持続的に管理してゆく必要があります。健康保険診療では残念ながら、これらも十分にできないのが実情であります。歯には自然治癒する能力が無く永久歯の後は二度と生えてきません。
医科、歯科に共通して言える事ですが、難しい治療の場合にでも法的にいろいろ制限がかけられるので、最善の治療ができないこともあります。難治性の疾病の場合でも、検査や処置(注射や点滴など)の回数が規制されていることがあります。また「出来高払い」と云われているように何か医療行為をしなければ報酬にならないので、経営効率からすると、軽症の場合はどうしても過剰診療につながりやすくなります。また、ほとんどの診療行為の時間の長短は報酬に関係がないので、なるべく早く患者との話をすませ、手早く診療を終えなければやはり効率が下がります。「3時間待って3分治療」というのは、現在も多くの病院で行われている医療の現状です。こういう問題は医療審議会などでしばしば討議されていますが、良い解決策がないのが実状です。
健康保険診療の良い点としては、比較的安価で誰もが平等に画一的な、必要最小限の治療が受けられるということです。しかし、残念ながら、患者さんのニーズに必ずしも満足にお答えできないのが現状です。現代は色々な医療情報が豊富に流布しており、患者様自身で病院や治療法を選択される時代です。何がご自分にとって最適の病医院かをよく考慮されて選ばれる事をお勧め致します。


インプラント

失った歯の代わりとして歯のの役目を果たすのが、いわゆる「インプラント」です。
インプラントは「植え付ける」の意味で、歯が失われた部分の顎の骨に人工の歯根を埋め、それを土台にして人工の歯を固定する治療方法であります。
従来、抜けた歯が少ない場合は両隣の歯を利用してブリッジで固定しましたが、健全な歯までも削らなくてはいけないのが難点です。残っている歯が少なく、ブリッジが不可能な場合は取り外し式の入れ歯しかできなくなります。しかし、、入れ歯は物がうまく噛めない、異物感がある、味が分かりにくい、発音に支障が出る等々の様々な障害が起こりやすという性質を持ちます。インプラントによる治療法は入れ歯よりも安定感があり、天然歯同様の咀嚼力(噛む力)を持ち、炎症を起こしにくく、長期間使用できるなどの特徴があります。この治療法の短所としては、第1に治療期間が長くかかること。悪い歯を抜いてからだと抜歯してから1年以上かかる事もあります。第2に治療費が高くなること。厳選された材料を使い、非常に精度の高い技術を要するため治療費は高くなります。第3に手術を必要とすること。術後の出血や腫れなど生じる事があります。
インプラント治療には色々な方法がありますが、現在ではインプラントと顎の骨を直接合させる「オッセオインテグレイション・インプラント」が主流になっています。1950年頃から基礎的な実験がなされ、この方法が初めて患者に適用されたのは1966年であり、現在までに世界中で10万人以上の人たちが治療を受け、きわめて良好な治療成績を得ています。
手術の方法により、「1回法」と「2回法」があります。「1回法」はインプラントの手術が1回で済みますが、術後に口の中に金属性の芯棒を露出させることになるので、常に口の中の細菌にさらされる事になります。清掃状態が良くないと、状況によってはひどい感染を起こすことがあります。手術は1回で済みますので、手術を受ける方の肉体的、精神的負担はすくなて済みます。「2回法」は1回目に骨の中に人工歯根を埋め込む手術、2回目にインプラントを歯茎に貫通させる手術を行います。1回目は、人工歯根が骨と良く馴染むため歯茎でフタをして完全に閉鎖してしまいます。そうすることによって骨の中にある人工歯根の安静を保ち、口の中の細菌から身を守ります。感染することはほとんどありませんが、手術を2度しなければなら無いので、負担が掛かります。それぞれ長所、短所がありますので、ケースバイケースで使い分けられています。
重度の糖尿病(日常、インスリンの注射が欠かせない状態)、血液疾患、心臓弁膜症、肝臓や腎臓の機能の低下、脳神経疾患などをお持ちの方は、インプラント治療が難しいかもしれなませんが、大多数の基礎疾患は治療上特に問題となる事はありません。
ただ、骨密度が非常に低かったり、薄い場合、治療ができない事がありますので十分な術前検査は必要です。


歯周病

歯周病の発病時期や、症状は様々ですが、発病の仕組みは基本的に同じだといわれています。それは歯に付着している歯垢(dental plaque)に存在する色々な細菌が引き起こす炎症が原因とされています。歯垢は次第に歯石と呼ばれる物質に変化し、歯の表面に強固に付着します。歯肉と歯の間にできたポケットといわれるスペースに細菌が入り込み、さらに歯石にも絡み付いて炎症を増悪させていきます。炎症が進行するにつれこのポケットが深くなり細菌が増殖する空間が増え、毒素を大量に産生されます。これが歯を支えている骨を溶かし、次第に歯が動揺するようになり、やがて抜けてしまいます。
しかしその炎症となる細菌の種類や、全身的あるいは局所的因子、またライフスタイルによって引き起こされる炎症の程度には非常に個人差があります。
例えば、糖尿病という前進的な疾患を持つ患者さんは歯周病は非常に治りにくく、病気は進みやすいといわれてます。それはそれは糖尿病により免疫力が低下し、血管自体も弱くなってしまい外的に対して抵抗力が低下しているからです。喫煙は、免疫機能を低下させ、抹消血管収縮により歯肉の循環障害をも引き起こさせるため歯周病に罹りやすいし、治り難いといった報告もあります(Ann Periodontol, 1: 1-36, 1996)。
また、歯周病が全身的な健康状態に影響を及ぼし、全身疾患の危険因子になる事がいわれています(J.Periodontology, 69: 841-850, 1998.)。歯周組織に感染した細菌やその産生された毒素は毛細血管の中に入り込み、全身をかけめぐり色々な臓器で悪さをします。特に心臓血管系への影響は高く、感染性心内膜炎、アテローム性動脈硬化症を引き起こし、致命的な状態になる確率が歯周組織が健全な人に比べてかなり高いと報告されています(J. Dent Res, 75:1631-1636, 1996.)。アメリカ合衆国では、新聞や専門団体からの情報スローガンでは“Floss or Die”であり、その治療の必要性を広く国民に伝えています。また子宮にも感染し、プロスタグランジンE2(PGE2)や腫瘍壊死因子α(TNFα)などの早産に関わる起炎物質の産生を高め早産につながるとも報告されています(Ann. Intern. Med., 116: 273-278, 1992.)。高齢者や障害者ではしばしば誤嚥(飲食物が間違って気管に入りこんでしまうこと)を起こしますが、このときに歯周病に罹患していると、その菌も一緒に気管に入り込んでしまいます。ここで細菌が増殖すると炎症を起こし、気管支炎や、肺炎を起こしてしまいます。免疫力の高い成人などでは大事には至ることは稀ですが、免疫力の低下したこれら高齢者や障害者では命を落とすこともあるのです。
歯周病が怖いのはただ単に歯が無くなり噛めることが出来なくなるだけではなく、全身の健康状態に大きく影響を与え、さまざまな疾病を引き起こす要因になるからなのです。


O-リングテスト(Bi-Digital O-Ring Test (BDORT))

筋肉の緊張(トーヌス)を利用して生体情報を感知する検査手技のことであります。BDORTは医師大村恵昭博士が1977年に考案した方法で、最初の論文が発表されたのが1981年です。 「生体そのものが極めて敏感なセンサーで、毒物を近づけたり、体に合わない薬剤を手に持たせたりすると、筋の緊張は低下し、逆に有効な薬剤では緊張が良好に保たれる」という原理に基づいて考案されました。
大村教授は、脳の血液循環と握力の関係を研究する過程でBDORTのヒントを発見しました。高校生を対象に行われた実験により、脳の血液循環が良い方の側の握力が強くなることが判り、脳と手の筋力、特に指の筋力が非常に密接に関連していることを確認しました。 更に、身体の異常のある部位に1本の髪の毛で触れる程度の微かな刺激を与えるだけで指の力が弱まること、そして、ある臓器に、その臓器がコントロールする物質や分泌物、或いは臓器と共通する因子を近付けた場合も、指の力が著しく変化することも明らかとなりました。 このように指の力の変化を利用して、様々な診断が可能となりました。
現在、O-リングテストは大村博士が提唱された原法を改変され臨床応用されているクリニックもあります。、当院では、現法に忠実に臨床応用しております。さらに詳しくお知りになりたい方は、日本バイ・ディジタルO-リングテスト協会のホームページをご覧ください(http://www.bdort.net)。
O-リングテストは、補助的医学診断法として発展してきており、非常に迅速かつ鋭敏に結果が得られるのが特徴です。しかし、あくまでも補助的診断法なので、標準的な検査で確認、検証が必要です。歯科領域では以下のような応用をしております。
@異常部位の診断 病的圧痛部を刺激すると筋力が低下することにより異常部を診断できます。臓器代表点を刺激することで、異常な箇所を調べることができます。 歯科では、歯や歯肉を刺激する事で異常を調べる事ができます。また、噛み合わせに異常がある場合もO-リングテストでわかる事があります。
A共鳴現象の応用 1983年頃には、2つの同一物質間における共鳴現象の発見により指のO-Rリングの力が弱くなるという現象の発見に基づいて、細菌、リッケチャ、ウイルス、ニューロトランスミッター、ホルモン、金属(Pb, Hg, Al等)、薬物などの分布の局在を調べる事が出来るようになりました。 口腔内も色々な微生物が存在し、時にそれらが悪さをする事があるのでが、その同定に応用できます。また、歯科治療で使われている金属の中で、体内に蓄積する金属(アマルガムに含まれるHgなど)も存在します。ご心配な方は、O-リングテストを用いて蓄積部位を見つけることもできます。
B薬剤適合性試験 病気に対してどのような薬が効いて、しかもその薬の適量はどのくらいかということまでも、患者様に服用して頂く前に決めることができるようになりました。口腔内使用金属に不安がある方は、パッチテストやスクラッチテストなどの従来の検査法に併せて、O-リングテストを用いることによりさらに詳しく調べることができます。

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